ある寮生の一日 —2022.1.16の場合— T.Y.
朝、チャリで三十三間堂の「楊枝の御加持」へ出かける。インド伝来で平安時代から続く儀式であり、千手観音様に祈り成就した法水を柳の枝を用いて参拝者の頭に掛け加持するという。昨晩、通し矢の一般観覧が中止になったと知り、もしや、と期待したら案の定、すいている。並ばずにさっと入場、一目散に「楊枝の御加持」を得た。千手観音様に五体投地をして一切衆生の無病息災を祈る。
せっかくなので向かいの京都国立博物館へ。特集展示「寅づくし」は学生証で無料になる。トラリンの元となった「竹虎図」尾形光琳作が出品されている。今年の年賀状に戯画した虎のお手本でもある。やっぱ本物を観とかんとね。新収蔵品のコーナーに進むと、おや、見覚えのある作品が。おぉ、拙著に掲載していた作品が京博収蔵になったのか!出世だ、個人コレクションだったのに。(この作品を紹介して下さった故吉岡幸雄先生にこの場を借りて感謝を捧げます。)今年も春から縁起がいいや。
夕方、寮。
スイス人留学生から「お茶飲みませんか~」とのお誘い。マイ・カップを手に、彼女の好物のコーラをお土産にいそいそと出かける。部屋に入ると、既に中国人留学生が座っている。「Hallo」何とチーズケーキを持ってきてくれている。これこそが、アジアのマナー、最近の日本人学生はこれを忘れてる人が多い。さて、いつものようにローズの香りのイラン紅茶をたっぷり淹れてくれた。そしてチーズケーキを頂く。「美味しい!」やっぱ中国の味覚は違うねェ、じゃなくて、 Gyoumu super で買ったとのこと。「私もう、喫茶店には行かない、チーズケーキはこれで十分。」とスイス人留学生も相槌を打つ。
「今日は何してた?」と聞かれ、ややためらいながら、「コロナ怖いけどね~」と三十三間堂に行ったことを告白する。「大丈夫!○○(イスラム教徒)が1日5回祈ってくれてるから!」パワフルだ。我々仏教徒は1日6回祈るけど、一切衆生の慈悲と不殺生等を願うので、ひょっとするとコロナ・ウィルスであってさえも、、。
「コロナ・ウィルスが人に馴染んで、変異としては弱くなって普通の風邪のようになるといい。」と学会で京大准教授が言ってた。先生、悟ったんだろうなぁ。京大病院はコロナ重症患者を受け入れて、大変にご苦労されていると思う。
このようなコロナ禍のもと、寮では国境を超えた共同生活が続いています。