未だ見ぬ厨房使用者のあなたへ
文責・厨房使用者会議
2022年吉田寮入寮パンフを手に取ってくれた皆さん、こんにちは!厨房使用者会議です。
私たちは、吉田寮食堂の中にある厨房という場所を自主的に維持・管理・運営する個人の集まりです。寮生だけでなく、近隣住民や寮生の友達、風のうわさでここのことを聞きつけてやってきた人など、様々な人が参加しています。
さて、『厨房』とは一体何でしょうか?皆さんが想像したものとはだいぶ違う場所です。なぜなら私たちがここでやっているのは料理ではないからです。
吉田寮の厨房には料理をするスペースと楽器を演奏するスペースがあります。
料理をするスペースにはコンロ、洗い場、でっかい冷蔵庫、たくさんの調理器具があり、楽器を演奏するスペースにはドラムセット、ギターアンプ、ベースアンプ、でっかいスピーカー、たくさんの打楽器があります。私たちが主に活動しているのは、後者のスペースです。
私たちはここで、楽器を練習したりバンド活動をしたり、ライブをしたり、でたらめに楽器を鳴らして遊んだりしています。そして、厨房を使う人たちがその使い方や在り方について話し合う場とその集まりが、『厨房使用者会議』です。
厨房使用者になるには、主に春と秋を中心に不定期に開催される『厨房オリエンテーション』に出席する必要があります。
厨房オリテでは、機材の使い方や私たちが厨房使用者会議として活動するうえで大切にしていること、厨房がこの吉田寮という場所のなかでどのように成り立っているのか、その経緯などを新しくやってきた人に共有します。このオリテを受けなければ、厨房の機材などを勝手に使うことはできません。決して、いつでも誰でもウェルカムな無法地帯というわけではないのです。そして厨房使用者になったら、月に2回の定例会議に出席しなければなりません。ちなみに、厨房の運営にかかる様々なお金は毎回の会議でひとり100円の雑費を集めて賄っています。
会議では、「この日のこの時間に食堂(厨房と食堂の間には壁がありません)で演劇をやるので練習しないでほしい」「ギターアンプが故障したから修理したい」「機材の劣化が激しいので買い換えたい」「寮生から練習の音がうるさいと苦情が来ている」などなど、様々な議題を扱います。ときには会議が数時間に及ぶこともあるし、楽しくて明るい話題だけというわけでもありません。
めんどくさいな~と思った?そう、めんどくさいのです。
しかし大事なのは、厨房で楽しい時間を過ごす代わりにこのめんどくささに耐えているというわけではないということです。めんどくさい手順を踏み、めんどくさい時間をみんなで過ごすこと無くしては、厨房は楽しい場所で在り得ないのです。
誰かが決めた範囲の中で遊ぶんじゃなくて、その範囲を自分たちで決めたい。それが厨房使用者会議の基本的な考え方のひとつです。その誰かがいつかの厨房使用者たちだったとしても、いま使っている私たちがいくらでも好きなように変えていい。そうやって、厨房は姿を変え続けます。その変化の過程がめんどくさいのは言うまでもありませんが、維持するのだって同じくらいめんどくさいのです。
このめんどくささを放棄するとどうなるでしょうか?例えば学校みたいに、会社みたいに、大学みたいに。自分の知らないところで自分の居る場所のことを決められ、それに抗わず色んな気持ちを飲み込んで、顔の見えない誰かに従う。先生だから、上司だから、役員だから。副学長だから。
自分が居る場所のめんどくささを引き受けるということは、その場所に対して主体性を持つということではないでしょうか。自分という主体がいかにその場所にとって重要かを、自ら認識し行動するということではないでしょうか。そしてその繰り返しが、自治・自主管理なのではないでしょうか。
公園に備え付けられた遊具より、自分で作った秘密基地のほうが楽しいに決まってる。私たちはこの秘密基地で一緒に遊ぶ仲間をいつでも大募集しています。楽器経験はもちろん不問!京都大学の学生でなくてももちろんOK!
一緒に厨房をつくりましょう。一緒にめんどくさい時間を過ごしましょう。きっと気に入るはず。大丈夫、気に入らなければみんなで話し合えばいいのです。
ここは厨房。京都大学吉田寮、の現棟と新棟の間に建つ食堂、の西側、の隅っこ。
私たちは厨房使用者。厨房のことは私たちが考え、私たちが話し合い、私たちが決める。
さあ、あなたも!