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あなたは、これまで生活してきた環境の中で人と対立したり、トラブルに直面したことはあるだろうか。学校で同級生と喧嘩したり、ちょっとしたすれ違いから友人と険悪になったり…こういった人と人との間の問題は多くの場合、同じ時間と空間を共有するうちにどうしても生まれてしまうものだ。吉田寮には現在、100人を超える寮生が住んでいる。これだけの数の人間が寝食を共にするのみならず、時には一緒にイベントをやったりもする。そのうえ、寮生はみな出自、文化、考えが違うのだから、当然毎日のように問題は発生する。
では、発生した問題に対してどう対処するのか。
吉田寮では、問題に対して当事者同士の話し合いによる解決を目指す「話し合いの原則」がある。
とはいえ、話し合いによる解決というのはなかなか難しい。話し合うのは体力がいるし、時間もかかる。さらに、当事者間での解決する上で大きな障害になるのが両者の間に存在する権力関係である。ジェンダー、母語、寮歴、年齢などなど、様々な権力関係によって対等な話し合いは難しいものになる。立場に上下の差がある中で、思ったことを口に出せなかったり、納得のいかないまま解決したことになってしまったりといった事態は十分に起こりうる。そこで吉田寮には、このような障害を越えて「話し合いの原則」を達成する助けとなるものがいくつか存在する。
1つは「敬語非推奨の文化」である。敬語によって無意識に生まれてしまう上下関係の意識をなくし、対等に話し合うために重要な存在であるが、詳しくは他の人の記事を参照してほしい。もう一つはセクハラ対策特別委員会や言語支援局の存在である。それぞれハラスメントと母語の違いという、当事者同士のみでの話し合いによる解決が難しい問題に対して助けを求めることができるように設置されている。
ここまでいろいろと書いてきたが、「話し合いの原則」を実行していくうえでもう一つ重要なのは、相手を思いやる想像力である。人は得てして、自分の世界観や尺度で相手を理解してしまいがちである。自分だったらこんなこと気にしないのに、とか自分にとっては大した負担じゃないのに、といった安易な決めつけを避ける。自分の意見ばかりを述べるのではなく、相手の言葉を聞いて、立場や状況、心情を可能な限り想像し、寄り添う。それでも解決が難しい場合は、ぜひ周りの人に相談してみてほしい。当事者だけでの解決が難しい時のために、私たちはいつでも協力する。
対等な関係、十分な理解と納得の上で問題を解決する。そんな「話し合いの原則」を携え、私たちはあなたの入寮を待っている。